Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

『あかにんじゃ』 穂村弘 木内達朗 (岩崎書店)

login
店員のオススメ

バイヤー(児童書)

『あかにんじゃ』 穂村弘 木内達朗 (岩崎書店)

児童書バイヤー:井澤のおすすめ



ここ数年で、「忍者」の絵本が増えたなぁと思っていました。

だいぶ前のことですが、お客様から「忍者の絵本がないか?」というお問い合わせがあったのですが、当時は絵本の種類があまりなく、常備しているような絵本が数点しかありませんでした。
その後もお問い合わせはたまにあり、どうやら幼稚園で「忍者ごっこ」が人気あるらしいということを出版社さんから教えていただきました。
保育書を調べに行ったら、ちゃんと忍者ごっこの本もあるんだなと知りました。
以前、戦隊ヒーローで「ニンニンジャー」というのもありましたし、昨年小学生向けの忍者百科なんかも発売されました。

今では数多くある忍者の絵本の中から、私がおすすめしたいのはこの「あかにんじゃ」です。

他の忍者絵本と比べると、大人のセンスを感じる素敵な絵本だと思っています。
真っ赤な姿をしたあかにんじゃは、目立ってしまうのですぐにサムライたちに追い詰められてしまいます。
「あぶない!」と思ったその瞬間、「ドロン ドローン」と呪文を唱え、赤いカラスに変身!!
ところが赤いカラスの姿も目立ってしまい、黒いカラスたちからも追われ、次は赤いチョウに変身!!
そしたら虫取りの子供たちからも狙われ、今度は赤いおじさんに変身し、スポーツカーに乗って逃げます!!
赤い顔をして運転しているので、警察に飲酒運転だと指摘され、ますます追手が増えてしまいました。

さぁ、次はどうするの??

と読んでいる私たちの期待も背負ったあかにんじゃが変身したのは、追手もうっとりしてしまうくらい美しい広大な赤い夕焼けの空でした。
私がおすすめしたい、この絵本のセンスを感じると思うところは次のラストのページです。
夕焼けの後の暗闇の中、あかにんじゃはひっそりと身を忍ばせています・・・。