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『土 地球最後のナゾ』 藤井一至 (光文社)

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パルシェ店

『土 地球最後のナゾ』 藤井一至 (光文社)

パルシェ店・店長:八木のおすすめ



現在の勤務先はビルの5階。
現在の住居はマンションの3階。
某アニメで少女が、人は土と離れては生きていけない、と叫んでいたなあ、としみじみ思い出した。
ずいぶんと土から離れて暮らしている。では地階で働いたり、1階に住んだりしたら近いのか、と考えても、見渡す限りアスファルト。鉄筋コンクリートの壁。結局、土との隔たりはそれなりのものだ。

本書は地質の話ではなく、農業に向いた土を探す研究者の旅物語だ。地球人口が100億になろうという時代に、その食糧を如何にして確保するか。それを育てる土はどこにあるか。スコップ担いで世界中をめぐる。軽妙な語り口、段落の最後に時折現れる比喩表現がとてもしっくりきて、しかもおもしろい。
土の写真もすべてカラーで、こんな色があるんだ、という驚きも。
学校で習っていた、農業に向いた土地の土も、結構な苦労をしてそんな土になっていたりして。そこで作られる植物を食べて、私たちは生きている。

ちょっと足元、意識を向けてみませんか。