あけましておめでとうございます。
今年も谷島屋各店の様々な担当者が精力的におすすめ本を紹介していきます。
2018年もどうぞよろしくお願いいたします。
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年末の休みを利用して、もう何度目になるかわからない村上春樹さんの「風の歌を聴け」を、今回は作中の音楽に注力して読み返した。
村上春樹さんの小説に登場する音楽の役割は極めて重要だと思われる。
「1973年のピンボール」のビートルズ『ラバー・ソウル』、恋愛小説の名作「ノルウェイの森」のビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビー』、「国境の南、太陽の西」のナット・キング・コール『国境の南』『プリテンド』、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のフランツ・リストの『巡礼の年』などなど。
そしてこのデビュー作「風の歌を聴け」。
作中に登場する楽曲は実に23曲(たぶん・・・)。
クラシック、ソウル、ロック、ジャズとジャンルも多岐にわたり、そのいずれもが、その曲である必要性を強く感じる小説との関係だ。
私はこの小説で、マイルス・デイビスの「ア・ギャル・イン・キャリコ」が入ったアルバム「ミュージングス・オブ・マイルス」を手に入れ、今回もそれを聴きながら「風の歌を聴け」を読み返した。
文字だけで追っていた音の情報を実際に耳にしながらリアルに体現して、小説を体感するということの愉しさを教えてくれたのは、いつも村上春樹さんの作品であった。その後、マイルスのアルバムを何枚も聴き漁った。「ノルウェイの森」読了後はビル・エヴァンスに夢中になった。全ては小説から始まった音楽への探求であった。
音楽が重要なファクターとなっている村上春樹さんの作品を、作中の楽曲を実際に聴いて読んで見る。
読書と音楽鑑賞の愉しさの幅が広がる、新しい発見です。