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『あおざくら 防衛大学校物語 01』 二階堂ヒカル (小学館)

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店員のオススメ

本沢合店

『あおざくら 防衛大学校物語 01』 二階堂ヒカル (小学館)

本沢合店・店長:細川のおすすめ



本書の舞台は防衛大学校(略して防大)。
自衛隊の将来の幹部候補を養成する国の機関であり、“大学校”と名が付いているものの、
入校した段階で立派な自衛官。月々のお給料も出るし、ボーナスもあります。
その上、衣食住タダ。国が全て面倒を見てくれます。
ここまではほとんどの方も知っている防大のイメージではないでしょうか?

私も当然、内部のこと等知らなかったし、全寮制で厳しいくらいには思っていましたが、
本書を読んで正直ここまでとは思っていませんでした。
ただ、厳しいことにはしっかりと理由があるのです。

詳細は本書に譲りますが、新入生にはまず“理不尽さ”を知らしめることから始まります。
将来彼らが自衛隊の幹部になった時、言ってみれば他人を死に至らしめることも、
逆に死から守る権限すらも持つ人間になる、そんな状況になった際に、素早く正しい選択を下せる能力、
そして精神力を養うのが目的なのだそうです。

普通に大学生になった同級生がスマホを持ち歩き、授業が面倒ならばズル休みもし、
サークルで合コンしたりと、現代の当たり前の学生生活をしている中、
敢えてこのような厳しい生活を選んだ若者には素直に頭が下がります。
そして、「同期がいたから苦しい時を乗り越えられた」と惜しげもなく言えるような、
彼らのような青春時代を羨ましく思います。

有事のために「リーダーとは何か?」「リーダーシップとは何か?」を常に考えさせる教育、
そんな防大の生活には、我々サラリーマンも考えさせられるものがあります。

「防衛大学校」「自衛隊」「リーダーシップ」、これらのキーワードに興味がある方はもちろん、
そうでない方でも楽しく面白く読める作品です。