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『My Foolish Heart』 Bill Evans

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読書におすすめの音楽

『My Foolish Heart』 Bill Evans

谷島屋がおすすめする読書にオススメの音楽     (不定期更新)




今回は、超名盤を。
泣く子も黙る!? Bill Evans Trio、Waltz for Debbyから『My Foolish Heart』を。

はじめてこのアルバムに出会ったのは、中学2年生だったか。
当時ご多分に漏れず、普段聴く音楽はThe Blue Hearts。
それこそ毎日夢中に聴いて、「お前、ブルーハーツ派?ボウイ派?」などとクラスの音楽好きの連中とは二派に分かれて互いにその音楽センスを牽制し合っていた。

そんな中、クラスのその音楽二派談義には加わっていなかった少し静かめのクラスメイトから、なぜか「これ面白いよ、読む?」と、突然これまた当時大ベストセラーで社会現象になっていた村上春樹さんの「ノルウェイの森」を手渡された。
本なんて歴史の本か、週刊少年ジャンプしか読んでいなかった当時の僕は、なぜ特別仲も良くない彼から「ノルウェイの森」を手渡されたかもわからないまま、真っ赤な装丁のノルウェイの森を読み始めた。
二日後にはその彼に、「続きを読ませてくれ」とせがみ、どっぷりとその世界に嵌った。
そして、作中に登場する数々の聞いたこともないミュージシャンの名前に、得体も知れない憧れを抱いた。
とりわけその思いが強かったのが、このビル・エヴァンスだった。
すぐに当時のレンタルレコード店に走り、『Waltz for Debby』を借りた。
家に帰りレコード盤に針を乗せ、アルバムの最初の曲『My Foolish Heart』を聴いたときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。
鳥肌が全身を駆け巡り、わけも分からずに涙ぐんだ。
パンク少年だった自分が、ジャズなんて聴いたこともなかった自分が、わけも分からず、何かに感動していることに驚いた。
それからもう30年近くこのアルバムを聴き続けている。今も全く色あせないその音色はこのアルバムの、ビル・エヴァンスのピアノの凄さを物語っている。

そして、恥ずかしくて誰にも言えなかったが、当時の僕の流行りは、月の光が明るい雨の日になると、部屋の電気を消してベッド(本当はソファーが良い)に寝転んでビル・エヴァンスのピアノを聴く、という行為に浸ることだった。