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『宇宙 そのひろがりをしろう』 加古里子 (福音館書店)

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『宇宙 そのひろがりをしろう』 加古里子 (福音館書店)

バイヤー:永山のおすすめ




子どもの頃、母親の実家にはたくさんの絵本があった。
『ぐりとぐら』『おおきなかぶ』のような定番絵本もいろいろあったけど、ひときわ私の心をつかんだのは科学の絵本や図鑑で、その中でもこの本は異彩を放っていた。

最初は『ノミが自分のからだの100倍も高く跳べる』という話からはじまる。
宇宙と関係あるの?というような話、虫や動物、鳥がどれだけ速く走り、高く飛べるか、といったさまざまな記録から、そんな生き物たちにあこがれた人間が作り出した色々な道具の話になり、それらを用いた手段で少しずつ宇宙に近づいていき、やがて私たちの視点は宇宙へと飛び出していく……
ページをめくるごとに何万光年と広がっていき、私たちの太陽系がどんどん小さくなっていく世界にも、1ページ1ページに載っている情報の膨大さにも、途方のなさを感じてくらくらと目眩がする。
かと思えば、”なんでこの情報入れたの?”と笑ってしまうような、トリビア的な知識が急に放り込まれているのも楽しい。
(『エスキモー人のブランケット・トス』の高さとか子どもも大人も「えっ何それ」と引っ掛かるでしょう)

子どもの本だからとわかりやすく簡潔にするのではなく、あらゆる情報がしっかりと詰め込まれているため、難しいなと感じてしまうかもしれない。
でも、ここに載っている情報をすべて覚えたり理解しなければいけないということはない。
自分たちを乗せて動いている宇宙というところに思いを馳せる。
そこにたどり着こうと、さまざまな人たちが積み重ねてきた科学の進歩に思いを馳せる。
それだけでも、太陽や星空が今までとは少し違って見えてきて、そしたらまた、この本を開きたくなるのだ。