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『八つ墓村 改版』 横溝正史 (KADOKAWA)

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『八つ墓村 改版』 横溝正史 (KADOKAWA)

本沢合店・三方原店 統括店長:細川のおすすめ





日本ミステリー界で、江戸川乱歩と双璧をなす作家(と個人的に思っている)・横溝正史
による傑作です。
幾多の映画やドラマも放映されているので、日本の推理小説・知名度ベスト3に必ず入って
いるのでは?と(こちらも個人的に)思っている作品です。
先日、NHK・BSで単発モノのドラマが新キャストで放映されたばかりですが、(私の中で)
1977年の映画版に匹敵するものは今後も登場しないのではないかと思います。

小学生か中学生くらいの時にテレビで見て、トラウマ的な恐怖を植え付けられた作品です。
今ではテレビ放映なんて絶対考えられない残酷描写(特に村人による落ち武者の騙し討ちや、
田治見要蔵による村人虐殺の場面)、豪華キャスト(寅さんで有名な渥美清が金田一耕助役)、
そして「赤穂浪士のテーマ」で有名な芥川也寸志による重厚な音楽にハマってしまいました。
ラストで、燃え落ちる屋敷を山上から笑いながら見下ろす落ち武者達の姿は、強烈に脳裏に
焼き付いています。

私の場合、映画を見てから原作を読んだ派なので、設定の違いに最初は戸惑いましたが、日本
の田舎にまつわる因習や祟り、怨念といった見えない恐怖は、やはり原作でこそじっくり味わ
えるものだと感じました。

一見平和そのものに見える牧歌的な田舎に隠れた、悲惨な歴史、怨念や人間の欲望。
そこに実際にあった「津山三十人殺し」事件を絡めた、日本ミステリー界の大傑作です。

映画やドラマでしか知らない方も、原作でまた違った恐怖を味わえること請け合いです。