『オルタネート』
あのジャニーズの、
あのNEWSの加藤シゲアキさんの小説、
という枕詞がもはや不要なほどに作家としての加藤シゲアキが確立されてきた。
そう思える作品だった。
舞台はそれほど先じゃない未来、いや現代でも全くおかしくない設定。
高校生限定のマッチングアプリである「オルタネート」を介して、若者たちが恋や友情を”繋げていく”物語。
デジタルファーストで出会い、リアルでつながり、本当の意味で人間味を感じ、相手との相性を図るという、現代でも当たり前になっている人との繋がり方の意味を、このオルタネートを読んで改めて理解をする。
物語のベースにこの「オルタネート」を配置し、
主導線と同じくらいの太さで展開される全国配信の料理コンテスト「ワンポーション」での繋がり。
高校をドロップアウトして音楽家が集うシェアハウスでの繋がり。
と、主人公三者三様の人とひとのつながりを、見事な筆致で今どきの青春小説に書き上げたその力量に大変な魅力感じた。
なんというか、小さくまとまらないそのスケール感と荒削りさが、今後における期待を更に膨らませた。
正真正銘、魅了あふれる作家の小説が誕生した。