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『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬(早川書房)

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『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬(早川書房)

営業本部:野尻のおすすめ

 

いやぁ、久々にすごい新人が出てきましたね。
もうすでに業界では大きな話題になっているので知っている方も多いと思いますが、アガサ・クリスティー賞受賞の逢坂冬馬さん『同志少女よ、敵を撃て』。

率直に言って、すごいレベルのデビュー作だと思いました。
それでも当初は、題材・ボリューム・新人・値段等を考えたら売りにくいかもなぁ、と思っていましたが、そんなことすら心配する必要がないレベルの小説。
そして、それは出てきた装丁を見て確信に変わりました。さすが早川書房さん!すごくいい表紙ですわ!


さてさて、物語はというと・・・。

まるで映画を観ているかのような緊迫感ある数々のシーンに、気がついたら息を殺して(止めて)読んでいる場面が何度も何度もあった。
狙撃手が放つ弾丸の行方すら、スローモーションで再生され、そこにさえも物語が生まれている。
雨嵐のように飛び交う弾丸の中の一発が、1人の戦士の命を奪う。
1人の失われた戦士の命は、100万分の1でも、10万分の1でもない。
1分の1。
命が持っている意味。
戦争が持つ意味とどちらが重いのか。
これほどエンターテイメント性を持った作品で、物語を純粋に愉しみながらも、同時にこれほど深く考えさせられた作品はない。
すごい作品がすごい作家とともに生まれた瞬間に立ち会えたことに幸せを感じました。

これからこの本をできるだけ多くの方に届くよう、書店としては頑張らないといけないのだが、早速次の作品が気になって仕方がない。