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『塞王の楯』今村翔吾(集英社)

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『塞王の楯』今村翔吾(集英社)

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『塞王の楯』今村翔吾(集英社)

今村先生、直木賞受賞おめでとうございます!
いやぁ、本当に本当に嬉しい。
しかも米澤穂信先生『黒牢城』との時代ダブル受賞なんて、素晴らしい!
※『黒牢城』も最高に面白い!


2021年の2月に、今村先生が当社の浜松本店にお越しくださった。
その時すでに私は今村先生の著書を全て読み、その物語の世界観にどっぷりとハマっていた。
しかし、お会いしたらそのお人柄の素晴らしさに、今村翔吾という作家自体に惚れ込んでしまった。
とにかく、フランクで気取ったところがなく、話しやすい。
そしてお話が面白く、カラッとした明るさがあって、人を引き込む天性のオーラをお持ちなのだ。

今村先生のお人柄もあってか、そこで失礼を承知で思わず口を滑らしせてしまった。

「先生、絶対に直木賞とりますよね」

「うん、取るよ。・・・・・取りたいねぇ 笑」
「取ったらまた来るね」


あれから、1年。
本当に直木賞を受賞された。
そして、先日本当に浜松本店に来てくださった。
受賞直後のテレビに出まくって、ものすごい量を執筆されているその最中に。

有言実行。

本当にすごい作家さんだ。
高騰する御自身のサイン入著書に心を痛め、2200冊ものサイン本を作成されたり、無くなる予定だった街の書店の経営を始めたり・・・。
やることがいちいち男気溢れて、今村先生が書く物語とリンクする。
あぁ、だから先生の書く小説はこんなにも血が通っていて、読み手を熱くさせるのだ。
本当にすごいことだ。
これからもずっとファンとして応援すると同時に、書店員として一人でも多くの方に、今村翔吾という作家が書く物語を届けたい。
そう思った。


さてさて、
第166回直木賞受賞作『塞王の楯』。

”最強の楯”である石垣を作る職人・穴太衆と、”至高の矛”たる鉄砲を作る国友衆との対決を描く戦国小説。

あっけなく訪れる”人との別れ”を必要以上にばらまく”戦”。
そんな”戦”を終わらせるために、人が死ぬのは一度、これが最後だと言い聞かせて、より進化させていく「矛」と「楯」が皮肉にも戦を終わりなきものにし、争いを更に激しいものへとしていく。
どちらが正しいのか、あるいはどちらも誤りなのか。因果はめぐる。

「誰かを守るということは、ときに誰かを傷つけること」

「お前は何を守る」

かつてこれほどまでに、誰かを守るということの意味を、強く深く訴えた物語はなかった。

物語とその熱量に目頭が熱くなった。
小説って本当に面白い。
そんな原点に立ち返らせてくれる物語。

直木賞受賞、本当におめでとうございます!