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『明け方の若者たち』 カツセマサヒコ  (幻冬舎)

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浜松本店

『明け方の若者たち』 カツセマサヒコ  (幻冬舎)

浜松本店 店長:細川のおすすめ




誰にでも、辛い恋愛経験の一つや二つはあるだろう。

本書は2020年に文芸書として刊行され、2021年にはNHKの朝ドラ「ちむどんどん」で主役をつとめた
黒島結菜さんも出演した映画化でも話題となった作品です。
2020年に新刊として発売された時にも読後に衝撃を受け、2021年11月に文庫となったものも購入し、
積んであったのですが、ふと思い出して読みたくなり、先日1日で読み終えてしまいました。

やっぱり切ない気持ちと苦しい気持ちで、読後は何だかじっとしていられなくなってしまいました。
昔の自分の恋愛経験を思い出させるのと、必ずしもハッピーエンドではない結末が、妙に現実味を帯びて自分に
まとわりついてくるような気がしたからでしょうか。

ところどころに私が個人的に“名言”だと思える台詞があり、著者のカツセさんの文章の上手さにも改めて惚れてしまいました。

今思えば、私も20代の時には本書で言うところの「人生のマジックアワー」と思える時がありました。
友人と酒を飲んで未来を語り、ほぼ徹夜でそのまま仕事に行くこともありました。
喧嘩したり、辛い思いをした恋愛経験もありました。
40才も過ぎ、もはや二度と戻らない時間と分かっているのに、本書を読むとその頃を思い出してヒリヒリしてしまうのです。