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『いちご』 平山和子  (福音館書店)

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バイヤー(児童書)

『いちご』 平山和子  (福音館書店)

児童書バイヤー:井澤のおすすめ



この絵本を季節絵本として選んで展開をするのは、実は大きなお店の児童書担当になってからで、
絵本自体はとても歴史があるのですが、私の中では、
まだまだこれから大切に販売していきたいと思っている絵本です。


きっかけは、数年前のフェアの中に選書されていて、自店だけでなく、
他の店舗でもよく売れたことを知ったからです。
それまでは、棚にある背表紙ばかり見ていたので、表紙を見せて陳列すると、
こんなにも絵本売り場を可愛らしくしてくれる存在なんだなということに気が付きました。
お話はいちごの苗がだんだんと成長していき、おいしい赤いいちごになっていく様子が、
『くだもの』でお馴染みの平山和子さんの本物そっくりで丁寧な絵で描かれているのですが、
私のおすすめしたいところはこれだけではありません。

文字の色が黒と赤に分けられていて、私たち読者と絵のいちごがおしゃべりしているように
お話が進んでいきます。このいちごの言葉遣いがとても上品で、
苺の成長を「まだかな?」と待ち遠しい私たちの気持ちを優しく
包み込んでくれるお母さんのようでとても心地が良いのです。
こんな優しい雰囲気のある絵本を、暖かい部屋の中、親子で楽しめたら、
どんなに幸せな空気になるのだろうと思ってしまいました。
絵本の良さを私たちに伝えてくれる絵本だと思いますので、ぜひ読んでみてください。