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『タスキ彼方』 額賀澪  (小学館)

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『タスキ彼方』 額賀澪  (小学館)

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テレビで何時間も生放送され、選手一人ひとりの名前と人生がクローズアップされる駅伝の大会など、
世界中のどこを探してもないそうだ。
そんな箱根駅伝を毎年楽しみにしている。

今年100回を迎えたこの大会の歴史には、主催である関東学生陸上競技連盟が、
戦中に軍部と交渉して開催された22回「幻の箱根駅伝」がある。
選手たちのゴールは戦場だった。
GHQから「タスキとは何でしょうか?」と問われこう答える。

「体一つで長距離を走ったり、練習に明け暮れたり、陸上競技を愛した自分を次の選手に託すんです。
託された選手はタスキを繋いできた他の選手の分も、
コースの先でタスキを持つ選手の分も背負って走るんです。
自分一人では行けない場所に仲間といっしょに行くんです。
タスキは私達自信で私達の祈りで願いで弔いで未来です。」

トラックレースもマラソンも一人で戦うもの。駅伝はチーム。
自分一人が区間賞を取っても記録を打ち立てても、チームが負ければ霞む。
だから駅伝は嫌いだという孤高の青年ランナーが、箱根駅伝の歴史を知っていく中で、
少しづつ心が変化していく物語である。