
いやぁ、相変わらず凄いです。
あまりに先が気になって、どうしても仕上げなければいけなかった仕事を翌早朝に持ち越し、深夜までかかって一気読みしてしまいました。
デビュー作から、全作品ずっと読み続けている畑野智美さん待望の新刊、ストーカー加害者と被害者の二人が主人公の『消えない月』。
昨年同級生を殺害してしまう中学生を描いた『罪のあとさき』に衝撃を受けたが、今回も抉られました。
相手を「好き」だと思う極々普通の優しい感情が、やがて強い執着と怒りに変わり、次第にストーカーの本質が現れてくる様は、異様であり異常。
この異常な状態は、ストーカーにとっては日常であるが故に、被害者にとっては終わりの見えない、いや、終わることの無い関係となり、恐怖と諦めを覚えるのかもしれない。
そう、それはまるで、空を見上げると満月であっても細い三日月であっても、いつも『消えない月』が美しくそこにあるように。
どちらの主人公の心理描写もすごいが、特にストーカー側の心理描写には恐ろしいものを感じる。
衝撃の結末に、私は未だ立ち直れていません。