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『まいごのどんぐり』 松成真理子 (童心社)

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バイヤー(児童書)

『まいごのどんぐり』 松成真理子 (童心社)

児童書バイヤー:井澤のおすすめ



幼いころ大事にしていたものは、大人になった今でも体のどこかで覚えていて、その記憶が素敵な思い出だったら一生忘れないかけがえのないものになるんじゃないかと思わせてくれた1冊を紹介します。

春の野原のかけっこも夏の日のプールも、雨の日もいつもずっと一緒だったコウくんのお気に入りのどんぐり。
「ケーキ」という名前をつけてしまうくらい大事にしています。
ところが秋のある日、うっかりコウくんから落ちてしまい落ち葉の下にかくれてしまいました。
何度も探すコウくん。懸命に「ぼくはここです」とコウくんを呼ぶどんぐりでしたが、そのままコウくんのところへ帰ることはできませんでした。
二人の微笑ましい関係を見てきたので、このページは本当に悲しい気持ちになります。
けれど、時は流れ、ある時からどんぐりはコウくんの成長を見届けることができるようになったのです。
どんぐりは木の種で、木の子供だったのですから。,そして二人には感動の再会が待っていたのです。

この絵本は、絵本を読み聞かせてもらう幼い年代よりも、大人の方のほうがこの感動を共感してくれるようです。
自分が誰かに勧めたときに「このお話いいよね」と共感してもらえる喜びを私に与えてくれる絵本でもあります。
一生大事にしていきたい私の大好きな絵本をご紹介できてうれしく思います。