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『茨木のり子詩集』茨木のり子 谷川俊太郎(岩波書店)

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『茨木のり子詩集』茨木のり子 谷川俊太郎(岩波書店)

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基本的に私はどうにもならないことをぐしゃぐしゃ考える気質で、それで自分を苦しくさせたり、視野を狭めたりしているところが多い。
そういう状態になっているなと自分で感じたときは、茨木のり子の詩が必要なときだな、と思う。

茨木のり子の詩は甘くなくて、ぴしゃりとしている印象だ。
それでも突き放すような冷たさはなく、すがすがしい文体の中にやさしさが織り交ぜられている。
言語化しづらい、でも確かにある瞬間に自分の中に生まれていた感覚や感情を、こうも美しく言葉にしてくれるのかと驚くし、自分でもなんとなく良くないと思いつつ甘んじている状況などを、厳しくやさしく叱られているような気持ちにさせられたりもする。
身近な人に言われたら「そんなこと言われても」と言い訳してしまいそうなことも、彼女の詩を通すとすとんと胸に落ちてくるからふしぎだ。
彼女の詩が、暮らしに対して、生きるということに対しての思いの結実のように思えるからかもしれない。
「しゃんとしなさい」とやさしく諭されているようで、こんがらがった感情をほどいて、姿勢を正して向き合いたくなるのだ。