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『月まで三キロ』 伊与原新 (新潮社)

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『月まで三キロ』 伊与原新 (新潮社)

営業本部:野尻のおすすめ




地元浜松が舞台になっている短編があるとのことで、出版社さんから発売前のゲラを読ませて頂いた。
伊与原新さんの小説は気にはなっていたけれど、今まで読んだことはなかった。
イメージとしては、理系のミステリ・SF作家さんだと勝手に思っていたので、この「月まで三キロ」にはやられた。
表題作の「月まで三キロ」とうタイトルは、浜松にお住まいの方だとひょっとしたらピンとくるかもしれない。
私はすぐにピンと来たが、まさかこんな物語に仕上がるなんて予想も出来なかった。



「乗り越えられない悲しみというのが、この世にはあるんですね」と、
息子を自殺でなくしたタクシー運転手の父親が他人事にように語る深い悲しみと、戸惑い、そして静かな決意に涙腺が崩壊した。
会社帰りにお酒を飲んでほろ酔い気分の夜、帰途につくバスの中で読みながらみっともないくらいに泣いてしまいました。

子を持つ親として恐れていることの一つに、愛する我が子がいじめに遭うこと、がある。
そしてそのとき自分が無力だったらと思うと、更にその恐れは増す。
愛してやまない我が子がいじめで心を閉ざし、まるで38万キロも離れた月との距離のように離れてしまうことほど怖いことはない。


読後、子どもたちに、しっかりと愛を伝えること。
そして、「死ぬまで生きること」を教えていきたい。
そう思いました。