美術館に行くのが好きです。
旅行先を決めるのも、興味ある美術館、観たい展覧会がありきで選ぶことが多い。
とはいえ、特別知識を深める努力はしていないし、何時間も待つような評判の展覧会はパス。
つまりはたいした美術ファンではない、ということです。
この6篇の主人公の女性たちの何人かは、何かしらの美術関係の仕事に就いています。
それも、並々ならぬ情熱をもってその職を獲得し、それに人生を捧げているといってもいい。
そんな生き方が幸せか、とか報われているか、とかではありません。
彼女たちは、何かを成し遂げたとたんに、次の目標に向かって走り出しているような生活をしているけれど(親の老いに直面する歳でもあるし)。
あるのです。ココロの中に飾られた一枚が。
先日、東山魁夷の展覧会に行きました。
この本の一篇に登場する、『道』という作品の前で、長い時間たたずみました。
今も、画集をひろげてその道をみながら、この文章を書いています。
画面のまん中をまっすぐつらぬく白っぽい道は、今これから自分が進んでいく先にも見えるし、振り返って足跡を確かめた瞬間にも思えます。
今、私のココロの中にある一枚です。