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『白夜行』『幻夜』 東野圭吾 (集英社)

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『白夜行』『幻夜』 東野圭吾 (集英社)

営業本部:野尻のおすすめ

 

今でも東野圭吾の小説で最も好きな作品。
『白夜行』と『幻夜』。

共に発売時に親本で読んでいるが、その後読み返したいがために持ち運びに便利な文庫も購入していた。
今、当社は教科書販売の繁忙期なのだが、あえてその繁忙期にこの2冊を読んだ。
この強烈に分厚く重たい2作品をこの繁忙期に選んだ理由は、あまりに忙しく疲れている時期は、生半可な小説だと途中でやめてしまうからだ。
そして、案の定合間合間に読み進めて2週間もかかってしまったが2冊とも再々読了。
やはり何度読んでも、「とてつもない小説」だと、その思いだけが最後に残った。

『白夜行』
当時も感じたが、登場人物にほとんど心理描写のないことが特徴的な作品。
唯一といえる心理描写は、亮司・雪穂共にタイトル『白夜行』に関わる点だ。
亮二:「俺の人生は白夜の中をあるいているようなものやから」
雪穂:「あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった」
そう、まさに『白夜行』。
この人間の邪気、深い闇から抜けることのできない様がこの物語を惹き付ける要因だと思う。

『幻夜』
『白夜行』の続編ということではないのかもしれないが、作中に出てくる「ホワイトナイト(白夜?)」(主人公美冬の勤めていたブティック)や、美冬の「あたしらは夜の道をいくしかない。たとえ周りは昼のように明るくても」という発言からも、深読みしていくと美冬=雪穂?と思うところが多々ある。
そして読後の後味は、『白夜行』以上に悪く切ない。
ただ、やはりこれから読むのであれば、『白夜行』『幻夜』と一気に読んでもらいたい。
驚くような分厚さも、驚くほど気にならず一気に読めるので。



当時、『白夜行』が直木賞の候補作になった際、一点の疑いもなく受賞するだろうと思った。
もしかしたら、『亡国のイージス』とダブル受賞かも?
な~んて思ったことを覚えている。
『白夜行』が直木賞候補になった122回のノミネート作品は下記の通りだ。
『白夜行』東野圭吾、『亡国のイージス』福井晴敏、『M』馳星周、『ボーダーライン』真保裕一、『長崎ぶらぶら節』なかにし礼。
私は、『長崎ぶらぶら節』以外全て読んでいたので、やっぱり圧倒的に『白夜行』だろうと思っていた。
結果は、唯一の未読『長崎ぶらぶら節』だった。
当時書店員でもなかったのに、なかにし礼さんには申し訳ないが、とってもがっかりしたのを記憶している。
その後、東野圭吾さんが『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞した時は、とっても嬉しかったがやはり『白夜行』で受賞してほしかった・・・。
と思ったことを思い出した。

10連休あるGWあたりに、2冊一気読みなんてどうでしょうか?