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『ねじ子のぐっとくる体のみかた』 森皆ねじ子 (医学書院)

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『ねじ子のぐっとくる体のみかた』 森皆ねじ子 (医学書院)

バイヤー:永山のおすすめ



全国の医療従事者の皆さま、もしくは医学書・看護書担当の書店員の方々にはおなじみのねじ子先生。
医学書の担当として売場で勤務していた頃、コンスタントに売れ続ける医学書というのはあまり多くない中で、ねじ子先生の本は常に平積みにしておかねば!と思わせられる信頼と実績があった。

基本的には医療関係者向けに書かれている、れっきとした医学書なので、一般向けの健康書の棚で見かけることはあまりないかもしれない。
しかし本書は、読者を医療関係者のみに限定してしまうのはもったいないくらい、私たちの体のこと、病院での診察のことがおもしろく描かれている。
力の抜けた書き文字とイラストを用いたざっくばらんな解説に、ところどころに混じる小説や漫画の小ネタ。頭のいい医学生のノートのようなまとめ方が楽しい。
「昔から病院行くとだいたいここをこうやって診るな」「お腹痛くて病院行ったときこんな風に押されたな」等々、子どもの頃から病院で何度も受けているのに何を診ているのかわからなかった診察も多くて、あの診察はこういう部分や反応を診ていたんだ、と、すとんと腑に落ちる感覚も心地よい。

私たちは、自分の体のことを知っているようで意外と知らない。少なくとも私は、どこにどんな臓器が入っているのかも実はよくわかっていない。
それと同じように、病院でごくあたりまえのように受けている診察のことも全然知らない。(診察を受けるときになかなか聞けないというのもあるけれど)
『わからない』が『怖い』につながるのなら、それを少しでも『わかる』にすることで『怖い』も減らせる。
医療従事者ではない私たちにとってこの本は、体についての、病院に対しての不安を少なくするための、お守り代わりのようなものかもしれない。