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『ブルシャーク』 雪富千晶紀 (光文社)

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富士宮店

『ブルシャーク』 雪富千晶紀 (光文社)

富士宮店・店長:八木のおすすめ



サメ映画、と言うよりも、モンスターパニック映画に、はまった時期があった。蛙とか蛇とか蜘蛛とか熊とか、様々な生物が巨大化、凶暴化し、正確に執拗に人間に襲いかかる。荒唐無稽で怖いもの見たさの欲求がだいぶ満たされる。幽霊とか、実体のないものはどうにも苦手で、後ろ半分が機械のタコになったり、頭が二つになったり三つになったり、氷河ではなく雪原を泳いでいたり、そんなサメ映画を楽しんできた。

今年の8月、「怒涛のサメ小説」という帯の惹句が目に入る。表紙を見れば、富士山と、サメ。
駿河湾か?と思いきや、だいぶ内陸の湖らしい。富士宮が舞台。
トライアスロンの大会を一週間後に控え、いよいよ最終準備というところで、湖に向かった市職員が消息を断つ。湖畔でキャンプしていたカップルも消えた。湖畔では、研究者がサメがいると言い罠を仕掛けている。スイムコースになっている湖、本当にサメがいるなら、大会は中止しなければならない。果たしてサメはいるのか、三人が消えたのはサメが襲ったのか?
サメとトライアスロン大会を巡って、様々な思惑が錯綜する中、いよいよ大会当日を迎える――

映画のパターンのような展開を踏襲しつつ、
文字なのにすごいスピード感、焦燥感。
文字だから、勢いだけじゃない説明もしっかり加わる。
読み終わった後、「あーすごかったこわかった」だけじゃない、膝に手を置いて考えてしまう感覚。
トンデモ小説ではありません。
いい感じに騙されました。