
唐突に4体の白骨遺体が掘り起こされるところから、話は始まる。
強欲な金貸しとして周囲から妬まれ、“人喰い”の名で呼ばれた先祖を持つ一族の悲劇。
読み進めていくと、不気味な影、暗雲とも言うべき、得体の知れない何かが徐々に近づいてくる感覚に襲われる。
舞台となる大きな武家屋敷、双子の姉妹、少女趣味の乙女等、横溝正史風の、美しくも恐ろしい、人間の脆さを感じるミステリー。
過去と現代を行き来させる手法で読む人間をトリックに上手く巻き込み、複雑な家系がそれに輪をかける。
家系図に立ち返りながら読み進めていく楽しさと、真相が判明した時の驚きは、読んだ者の特権だ。
