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『メタモルフォーゼの縁側 1』 鶴谷香央理 (KADOKAWA)

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『メタモルフォーゼの縁側 1』 鶴谷香央理 (KADOKAWA)

バイヤー:永山のおすすめ



75歳の老婦人と17歳の女子高生。
このまま何事もなくゆるやかに日々をすごしていくのかしらと、諦めとも達観とも似ているようで違う日常にするりと入り込んできた、小さくも大切な「何か」……
このお話ではそれが、書店でたまたま手にとったBL漫画で、それをきっかけにふたりは少しずつ友人になっていく。

いくつになっても何かを好きになること、
好きなものを好きと言うこと、
それを大切にすること、
ときにはだれかと分かち合ったりすること。

あたり前みたくできていたはずなのに、気がついたら忘れていたり、それどころじゃなくなっている自分がいると、それはきらきら眩しすぎてほとんど泣きたくなるような気持ちにもなってくる。
けれどその痛みは「それ」があることの人生のよろこびを、彩りを人が知っているからだ。
だからこそ私たちは、ままならなさを感じながら大切なものを大切にしようとするふたりや周囲の人びとの、さまざまな感情の芽生え、関係性の変化を見守るように、寄り添うようにこの本を開くのかもしれない。