役者の青年2人の物語。
華のある容姿、天性の感覚で演じる役に入り込む多家良青年と彼に演劇のノウハウを教え
その天賦の才能に気付き、自分に絶望し、でも彼に惹き込まれて必死に彼を支える鴨島青年の物語。
共依存な2人。
お互いが欠落部分を補い合う関係。
お互いの存在が心地良すぎて離れ難い2人。
とても心理描写が秀逸なので
例えばBL的な直接描写はないですが
正直勘ぐってしまうシーン多々ですし、
劇中劇と漫画のストーリーをリンクさせる台詞が随所にあって
そこに主人公2人の炙り出される感情に思わず「あっ」と声を上げそうになる。
また役者さんの役作りや
映画、テレビドラマ、舞台、
の監督の思惑や
役者さんとの関係も描かれていて興味深い。
絶対的な神のように現場に君臨し自分の思考を形作っていくタイプの監督もいれば、
役者の意見を聞いてそこで手を加える監督もいる。
役者さんにもタイプがあって
自分の思考が膨らんで物語を作っていくタイプと
言われるままに演じられるタイプ。
よく役者さんが製作側に、
監督する側になる事が実際ありますが
あれは自分が思う通りに制作したくなるという事なんだなあと。
こんな風に普段観ているだけの映画やテレビドラマですが、それに携わる彼らの内側にも迫る作品です。
第23回文化庁メディア芸術祭漫画部門で優秀賞を受賞した本作。
是非是非読んでみてください!