「クラインの壺」は、裏も表も境界もない壺のような形状のものです。
「メビウスの輪」の3次元版と考えると、わかりやすいかもしれません。
本作の主人公上杉彰彦は、ゲームブック原作公募に応募した原稿をイプシロン・プロジェクトに売却し、原作として制作されるゲームのテストモニターとして関わることになります。
このゲームは、「クライン2」というヴァーチャルリアリティシステムを用いて、全身、全感覚をゲームの世界に落とし込むものでした。
もう一人のモニター梨沙とともに仮想現実の世界に入っていく上杉ですが、ゲームの世界だけでなく現実世界でも不可解なことが起こりはじめ、やがて梨沙が姿を消します。
その不自然な状況に疑念を感じた上杉は、会社のことを探ろうとしますが――
裏も表も中も外もない壺をのぞいたら、そこには何が見えるでしょう。
その先には何があるでしょうか。そもそも先はあるんでしょうか?