長野県と岐阜県の県境、標高2996mにある穂高岳山荘で
小屋番・支配人をしていた宮田八郎さんの遺稿集です。
コミック「岳―ガク―」の登場人物”宮川三郎”のモデルにもなった
宮田八郎さんは、2018年4月に南伊豆の海でシーカヤック中に
お亡くなりになっています。
生前書きとめていた原稿をまとめた本書には、穂高に魅了され
穂高を愛する熱い気持ちと、山岳レスキューに真摯に向き合う姿、
現場にいたからこその困難な状況、達成感、時にやるせなさが伝わります。
山岳レスキューに対する宮田八郎さんの姿勢は明確です。
シンプルに、困っている人がいたら助ける。
本文の引用です。
「たしかに山は「自己責任」。それはそうです。
でも、もう自らではその「責任」を果たすことができなくなっている状態を
「遭難」というのではないのでしょうか。~
世間が騒動を起こした人への批難として「自己責任」という言葉を
投げつけるのは場合によっては理解できなくもないのですが、
「自己責任だから助けなくてもよい」というのは違うやろうと。
まずは救うこと。~
困っている人に手を差し出す。その基本的な考えが確立している。
と思いました。
自分もこうありたいと思った瞬間がありました。