『読書家』って響き、カッコいい。
そんな価値観はある一定数、常に人びとの内になんとなくあるような気がする。
「読書家ってカッコいい」
「自分もそうなりたい、見られたい」
「でも本を読むのはめんどくさい」
本作の主人公・バーナード嬢こと町田さわ子は臆面もなく言い放ち、『読書家っぽく』見られるための試行錯誤に余念がない。
【本を読む】ことが当たり前の人たちからすれば、不可解極まりない、または憤懣やるかたないような愚行かもしれない。現にSFマニアの神林は初登場時から町田さわ子にガチギレしていた。
逆に、自分自身にも思い当たる節があって苦笑いしてしまう人もいるかもしれない。
色々思うところがありつつも、最終的には仕方がないな~と笑えてしまうのは、町田さわ子のあまりにも開けっぴろげな物言いと、先述したSF好きの神林、ホームズ好きの長谷川さん、一昔前の流行本マニアの遠藤君といった、彼女を取り巻くそれぞれ別方向にキャラの濃い読書家の友人たちのおかげだろう。
(この紹介だけでも遠藤君の厄介そうな感じがすごい。)
少しずつ違うものが好きな4人、本や読書との向き合い方や考え方についてもそれは同じ。
そんな4人の、時にだらだらと時に激しいやりとりの中から、思いがけず格言めいた一言が放たれたりするので、ただの読書家ギャグ漫画と油断してはいけない。
まあ、とは言いつつも基本はギャグ漫画なので、谷崎に返り討ちにされる町田さわ子や『ホームズの正しい順番』を聞かれて激高する長谷川さんなんかを、ゆるく楽しく眺めてくれたらと思う。