私の大好きな韓国の絵本作家のペク・ヒナさんの新刊をご紹介いたします。
それは寝苦しい暑い夏の夜に、あるアパートで起きたとってもすてきな出来事です。
暑さのせいで?お月さんが溶けはじめてしまいました。
それを見たおばあちゃんは、大きなたらいに溶ける月のしずくを拾い、
冷凍庫で冷やしてシャーベットを作りました。
エアコンなど、どの家も電気の使いすぎで停電になり、アパートは真っ暗になってしまいますが、
おばあちゃんの作った月のシャーベットの光は消えることがなかったので、
アパートのみんなにわけてあげました。
こんどは、消えてしまった月からうさぎさんたちがやってきておばあちゃんを訪ねます。
するとおばあちゃんは、植木鉢に月のしずくの残りをかけました。
そしたらそれはそれは美しく光り輝く月見草が咲き、
真っ暗だった夜空にお月さまが咲くように現れ、やがて美しい満月となり、うさぎさんたちは新しい月に帰ることができたのでした。
この月のしずくの明るい黄色い光がとても美しく、絵本の上で最後まで輝いていたのがとっても印象的でした。
ペク・ヒナさんが細部まで丁寧に模型や人形を作り、照明にもこだわって撮影する絵本づくりだからこそ生まれる魅力的な作品になっています。
そして、もはや名コンビとなった長谷川義史さんの大阪弁の邦訳がとても心地良くさせてくれます。
暑い夏の8月も残り半分となり、売り場には来月のお月見に向けて、お月さまの絵本がならびはじめました。
今のこの時期にぴったりの絵本ですので、ぜひご覧ください。