季語に興味を持ったのは、まず俳句が題材の漫画を読んだから。
それとここ一年ぐらいで、以前より少し散歩をするようになったから。
散歩は、当たり前だけど車で通りすぎるときとは目線の高さも景色が変わる速度も段違いで、その分いろいろなものが体に飛び込んでくる。
同じように見えていた梅と桃の花の付き方の違い。
全部まとめて「木」でしかなかったそれぞれの葉の形。
姿が見えない鳥の鳴き声。
同じような顔で、一カ月前とは少しずつ全部違う町。
そういう季節の移ろいを感じた瞬間の、何気ない心の動き。
ほんの些細なきっかけで呼び起こされる何気ない思い出。
美しいことばの響きにしみじみうっとりする快さ。
そういったものたちを、季語というテーマに乗せて、ゆったりと話してくれているような本。
毎晩深夜にラジオで一遍ずつ語ってくれたら、布団に入りながら聞きたいなあ。