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『古典とケーキ』 梶村啓二 (平凡社)

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浜松本店

『古典とケーキ』 梶村啓二 (平凡社)

浜松本店 副店長:永山のおすすめ



2022年。
今年はもう少し古典も読みたいなあと思うでもなく思っていたところにこのタイトル。
なんてクラシックで甘美な響き!

副題に『甘い再読』とあるように、著者がかつて読んだ好きな古典について語る。
古典は読むのに骨が折れることも多く、疲れたらお茶と、そして甘いものが欲しくなる。
お菓子を求めて家じゅうを徘徊するのはなんだか物哀しい。
そんな後ろめたさから解き放ってくれたのは、クロアチアの老舗ケーキ屋で見た、イートインスペースを埋め尽くすおっさん。
当たり前のように自分でビスケットを焼くリヴァプール出身の知人。

そうだ、自分で焼けばいい。

読書に欠かせないお菓子を自分で焼く。
その本に合うそれぞれの焼き菓子を、物語に思いを馳せながら。
なんといっても、数えきれない人々に親しまれてきた古典と伝承焼き菓子には、きっと同じようなパワーが宿っているのだから。
なんだかこじつけのようにも見えるが「なるほど」と言ってしまう妙な力強さもある前書きに説得されて、めくるめく古典の世界が目の前に開く。

「懐かしい」と感じる再読派も、
「恥ずかしながらまだどれも読んだことがない」と感じる未読派も、
同じお菓子を用意して読んだらきっと愉しい。
(自分で焼かなくても大丈夫)