ちょうど3週間程前、アメリカ軍の特殊部隊がシリア北部でIS(イスラム国)指導者の隠れ家を急襲し、
殺害したとの報道がありました。平和な日本に生きている我々には、遠い異国の地の出来事ですが、改めて
シリアは現在進行形で戦争中なんだと認識させられました。
本書は、元特殊部隊員であり、アメリカ国防情報局(DIA)の作戦要員であるマット・ドレイクが、
化学兵器によるテロを防ぐことと、シリア国内で捕虜となっているアメリカ人を奪還すべく、内戦下の
シリア領内に潜入します。元々危険な任務ではありますが、そこに味方であるはずのアメリカ政府高官に
よる陰謀と、内戦下のシリアに跳梁跋扈する武装勢力の争いが加わり、満身創痍になりながら任務を遂行
することになります。
著者自身がアメリカ陸軍の軍人だっただけに、主人公のマットが戦ったり、負傷する描写が非常に生々しく、
実戦経験者のみ知る臨場感があります。二転三転するストーリーにハラハラしながらも、任務にあたる
主人公が超人ではなく、人間臭い所が魅力です。