「アーモンド」と「三十の反撃」 で 2年連続本屋大賞翻訳小説部門1位獲得のソン・ウォンピョンさん 、
待望の新刊です。テーマは「恋愛」。
4人の男女の一年を通した心の移ろいが描かれています。
恋愛小説、しかも群像劇となると、登場人物の感情が入り乱れ、関係性も複雑で読者側もそれに翻弄されて…
というのを想像して少し身構えてしまう私なのですが、
著者ご本人が「普通の恋愛小説とは違うものにしたかった」とおっしゃっている通り、
これまで読んだ恋愛小説とは違った読後感でした。
なぜ違うと感じたのか。
それは、一見普通に見える登場人物たちの「孤独」
(心の闇といってもいいかも…)が実はとても深いということ。
それぞれに生きづらさを抱えて、恋愛という言葉がもつ明るくポジティブなイメージからかけ離れた人たち。
彼らがお互いの関係を通して、どうやって孤独から抜け出していくのか、というところが丁寧に描かれていて、そこに感動できたからだと思います。
恋愛という関係を軸に描かれている物語ですが、他者との関わり合いを通じて、自分がどう変化していくのか、自分はどんな変化を相手に与えるのか、という人間関係全般に言えることについて考えさせられました。
自分を変えたい、今の状況から抜け出したい、そんな風に感じている方に読んでいただきたい恋愛小説です。