ウィトゲンシュタインと言うと、『反哲学的断章』というなんだかかっこいいタイトルの本があって、
「語りえないものについては、沈黙しなければならない」という、なんだかかっこいいことを言っている人、
という印象でした高校生の頃。
原作原理主義のように、以前は解説本から作家に触れることを忌避していたこともありました。
しかし哲学者の著作は日本語訳してもらっても難解に過ぎて、
文字を目で追うだけになってしまうこともしばしば。
そんな中で出会った本書、31のテーマで語られます。前項を受ける部分もありますが、
目次から興味のあるテーマがあったらそこから読んでもいいかもしれません。
事例を日本語にして説明してあるので、理解しやすい部分が大きいです。
一つ一つの章は短いので、気になったけどよくわからなかった、というところも読み返しやすいし、
原著を読んでみたくもなってきます。
「世界がどうであるかということが、神秘なのではない。世界があるということが、神秘なのだ」
本書で最初に引用される一節。これ以上ないスタート地点ではないでしょうか。