江戸に実在した「編み物ざむらい」とは、どんな侍なのかと興味をひかれ、この本を手にしました。
武家黒瀬家の息子として生まれ、剣術よりも編み物に興味を持つ感九郎。
ある日、お奉行に認められた蘭方医の行いに疑いを持ったため親から勘当される。
彷徨った感九郎は「仕組み」という世直しのグループに誘われる。
そこに携わる面々が個性豊かな人物ばかりで読んでいて、とても面白い。
感九郎は、その「仕組み」の仕事が正しい生き方なのかと疑問を持つ。
しかし、そこで働く仲間が様々な事情を抱えながら生きる姿に正しいとか間違いという
物差しで測れないことがわかってくる。
人の生とは経験や縁という糸で編まれた編み物のようだと。
正しく生きるとはどういうことか?
正しい生き方とは編み物のようだという作者の思いが物語を通して愉快に楽しく味わうとこができました。