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『くまのむちゃうま日記 1』 ナガノ (講談社)

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浜松本店

『くまのむちゃうま日記 1』 ナガノ (講談社)

浜松本店 副店長:永山のおすすめ





今や日本中に「ちいかわ」旋風を巻き起こしているナガノ氏の、日常生活の範囲内での食のあれこれにまつわるエッセイ。
(食に関する本が続いてしまったなと思いつつ)

プロローグでホームベーカリーを買ったり、つくるか、と思い立つとどこからともなく現れる『買った方が早インパラ』の誘惑に負けずハンバーグや餃子をつくったり、自炊の合間あいまに激辛ペヤングに悶絶したりキュウリを丸かじりしたり……
自炊とそれ以外に緩急をつけたゆるく続けられそうな食生活が描かれていくのかと思ったのも束の間、数ページ前から匂わせた後で唐突に現れる、花畑の中で早インパラに囲まれて舞うくま。その解き放たれた者にしか出せない躍動感の描写に何やら凄まじさを感じると同時に「ちいかわの作者だな」と妙に安心も納得もした。

唐突な水ブームが来たくま。つめたい米のうまさを噛みしめるくま。いきなりジャムを作ろうと思い立って早インパラをひっくり返らせるくま。食べるときの「ぽぐぽく」「ぐんぐん」といった独自のオノマトペ。
全体にただよう「気負わない」「がんばらない」とは常に少しずれたところにいる抜けた感じ、一切合切の気負いを奪ってくる感覚が、どうにもこうにも中毒性が高い。ゆるーい見かけになめてかかると、気づいたときには足を取られてる。すごくシンプルに、すごいなと思う。