痛快時代小説—とても読みごたえがありました。
日の本の各地で争乱が続く時代に、小館の領主である佐双顕猛に知遇を得、
客分として遇されている福坂幹是軒が、この物語の主人公である。
ある日、風獄党に襲われ、領主の側室がさらわれる。
顕猛は正室の子である壬四郎に側室奪還を命じるが、孤立無援の壬四郎には無理難題であった。
そこに手を差しのべたのが“味方殺しの幹是”という異名をもつ幹是軒である。
側室奪還に向かう仲間の中には、得体のしれない者や、処刑場から戻された悪党もいる。
その一人一人との関係が少しずつ良好な関係に変化していく。
特に幹是軒の言葉と行動によって一人の悪人の心の中に善の心が引き出されていく様子に
とても暖かいものを感じました。