窪美澄さんの小説が好きだ。
「晴天の迷いクジラ」(個人的には文庫版の装丁ではなく、親本の装丁がすきです)を読み、生きることそのものに対する力強いメッセージに衝撃を受け、そこからデビュー作「ふがいない僕は空を見た」や「よるのふくらみ」「さよなら、ニルヴァーナ」など多くの作品を読んだ。
どれも本当に好きだ。
そして今回の「じっと手を見る」。
ひょっとすると窪美澄さんの小説でも1番好きかもしれない。
想い焦がれる切なさを、やるせなさを、こんなふうにして物語に包み込む窪美澄という作家に本当に感服しました。
全ての恋愛において、 自分が相手を想う気持ちと、相手が自分を想う気持ちの 想いの強さが同じだったら、どんなに良いだろうか。
いや、お互いの想いの差を埋める行為そのものが、 実は恋愛の本質なのかもしれない。
その想いの差が切なさであり、切なさを感じることが 恋愛の醍醐味なのかも知れない。
『じっと手を見る』を読んで、
そんなことを感じました。