
著者の奥山真司氏は、カナダの大学に留学し、そこで政治地理を学んで初めて「地政学」の片鱗に触れたとのこと。
その後、大学院はイギリスのレディング大学に進み、戦略研究の大家コリン・グレイ氏に師事したそうです。
著者は地政学に関する著作を既に何冊も出されていますが、本書も初学者が読んでも非常に理解しやすく、
現在の国際情勢を理解する一つの思考法を提供してくれています。
冒頭から「地政学は学問ではない」と始まることから、少し面食らってしまう点はあったが、読み進めていく内に
なるほどなと納得がいきます。著者が「地政学とは国家戦略を考える上でベースとなる知の集積」と述べている
ように、常に動く国際情勢を、地理的側面、軍事的側面、歴史的側面から総合的に分析する思考法の一種だと
私は感じました。
地政学の誕生から、地政学に関する重要用語や理論の解説、そこから現在のロシア・ウクライナ、イスラエル・ハマス、中国と台湾の各問題を分析されており、新書でコンパクトながらも地政学を一から理解するのにオススメの1冊です。