久しぶりに一気読みの作品に出合えました。
特に中盤からの凝縮され密度の濃い展開がラストまで続くことに驚き、そして感動です。
あなたが持っている「今年読みますリスト」に加えていただいて間違いありません。
まず出だしからうまい。さり気なく見つけてしまう手紙から・・・。（ここはネタバレなので外しますが）
やはり名作と呼ばれる作品は例外なく最初からスルッと淀みなく物語の雰囲気が
読者を包み込んでしまうものだということを再確認した次第です。
そしてここがこの作品の最大のポイントだと思うのですが、とかく超常現象や特殊能力絡みの作品は
人間の暗黒面が強調されてしまいがちだと思っているのですが
（私がそういう作品しか読んでこなかったかも？しれませんがｗ）
この作品はどこにでもある日常生活にスパイスのような形でさりげなく（だがしっかりと）
振りかけているところが素晴らしい。
（公衆電話の新手の詐欺？シーンにすべてが詰まっているといっても過言ではない。
不覚にもここで大笑いしてしまった）
過去・少し前の過去・現在が絶妙なタイミングで交互に語られ繋がっていく過程が素晴らしく、
そこには過去と現在を行きつ戻りつ案内された私自身が
彼女たちと一緒にその時代とその現場を体験しているよな錯覚にさえ陥ってしまう瞬間があったのです。
勝手に判断して申し訳ありませんが、実石先生の最高傑作だと思います。