この小説との出会いは、お店のお客様からの紹介でした。
主人公の奈緒は夫を亡くし義父(医者)とぎくしゃくした生活をしていました。
夫の死に疑問を持ちはじめ、真相を探るため親子で脱藩。信州から江戸にやってきます。
そこで目立たぬよう薬屋を営みながら江戸の市井の人々のたくましさ、
優しさにふれ人情あふれる暮らしの中で少しづつ義父との心の交流ができていきます。
そんな中、夫の仇討ちはいかに…。
文中に“春隣”という季語が出てきますが、すてきな響きがあります。
題名は「春のとなり」かかわる全ての人々が春を待ち力強く生き抜く姿が、とても眩しく感じました。