マッドサイエンティスト、と聞いて誰の名前が思い浮かぶでしょうか。
表紙イラストの中央にいる人は、名前がわかる人も多いのではないでしょうか。
本書では33人の科学者が、マッドサイエンティストとして取り上げられます。
社会や理科の教科書、資料集などで名前を見たことがある人も取り上げられています。
知らないことを知る過程、わからないことをわかる過程で、いわゆる世間一般とかけ離れた行為に走れる人、
そこまで一心不乱に取り組む人。
良いか悪いか、で考えれば「マッド」と言われるようなことですが、その結果、後代に何が残ったか、
というところまで見ると、畏敬の念も感じられる研究者たちです。
とりわけ心に残ったのは、ジョン・フォン・ノイマンが言ったとされる
「我々が今生きている世界に責任を持つ必要はない」という言葉。
研究に集中する意識をとても強く感じる言葉であると同時に、
国家の軍事研究に関わりながらそう言い切ってしまえるところには、
やはり「マッド」という言葉が当てはまる、その思想への恐怖が強く残りました。