
阿賀沢先生の作品の若者たちを見ていると、みんな健やかであれ、幸せであれ、と思うと同時に、彼らの優しさや誰かを思う心の深さに尊敬の念を抱かずにはいられなくなる。
大好きな相手との距離が開いてしまうことよりも相手の負担になることを嫌だと思うこと。自分の気持ちを開示して楽になろうとせず、相手の心地よい存在でいられるいまを大事にしたいと感情を抑えること。傷つきたくないが故に相手の気持ちを疑ったり、真っ向から向き合うことを避けて斜に構えていた自分自身を認め、凝り固まった思考を手放すこと。
じたばたしながらもひとつずつ真剣に考えて、思いがけずカッコ悪い自分を見つけることになって、それでも大切な人との関係性をいつも大切なものとして扱う。
そんな簡単なこと、とは言えないぐらいそれが難しいことを知っているからこそ、そうあろうともがく彼ら彼女らのひたむきな懸命さが、どうしようもなく愛おしい。