アラベスクに縁どられた、壁画のような美しい装丁の表紙がまずとてもすばらしい。
タイトルのふたり、サトコは日本人でナダはサウジアラビア人。
アメリカの大学に通い、ルームシェアをしている。
もちろん文化も宗教も習慣もそれぞれで、今まで知らなかった、思いもよらなかったことを知る日々。
サトコもナダも、そういう違いに変に我慢をしたり、批判的になったりはしない。
驚き、受け入れ、たまに影響もされていたりする。その「受容する」姿があまりに自然だ。
それは『日本』と『サウジアラビア』『アメリカ』の文化の違いを知りたい、そういう知的好奇心だけでなく、もっと個人的な『私』と『あなた』でもあるから。
「あなたの国のことを知りたい」だけではなく「あなたのことを知りたい」から。
自分の考えをはっきり言葉にするナダ。
相手を思いやって行動できるサトコ。
お互いの良いところに目を向けて素直にほめて、ちょっと良くないところは伝えて、自分自身もまた少しずつ変わりながら関係を育んでゆくふたりはとってもキュートだ。