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『トクサツガガガ 1』丹羽庭(小学館 )

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『トクサツガガガ 1』丹羽庭(小学館 )

バイヤー:永山のおすすめ




他人には理解されづらい"好き"を抱えている人は、意外とそこかしこにいるものだと思っている。
この作品の主人公・仲村さんは特撮好き(特オタ)で、その趣味を限られた身内以外には明かしていない、所謂『隠れオタク』であり、それ故に周りに公にできない部分も多い。
好きなものに限らず、人が隠していることについて、他人は「堂々としていればいい」「こっちは気にしないのに」と言いつつ、オープンにしていたらそれはそれで「みっともない」「それ何の意味があるの?」などといった言葉を放つ人も少なくないから。
ただ、(口にしてしまうことは別として)周りの人がそう感じてしまうこと、自分の好きなものは恥ずかしいものなんかじゃないんだからと堂々とすること、大事なものだからこそおおっぴらにしないという選択、どれも間違いではないし、だからこそ理解のなさを嘆くだけでは苦しい。
好きなものがあるからこその悩みや壁にへこたれそうになったりしつつも、好きなものを追いかけ続けてきたことで教わったこと、考えたことに助けられて、今日も元気に特オタを続ける仲村さんとゆかいな仲間たち(ローカルアイドル好きや女児アニメ好きなど)のエピソードは、どこか滑稽でありながらも勇気づけられるところがある。
 
また、劇中作のクオリティがとても高く、特に現行作として頻繁に登場する『獣将王(ジュウショウワン)』は普通にリアルタイムで視聴しているような錯覚に陥らせてくれるぐらいだ。
多数の特撮作品のほかにも、アニメや映画もどれもこれも実際に観たくなるくらい面白そうで、確実にこの作品の大きな魅力のひとつになっている。
 
大声で好きだとは言えないけれど、普段の生活のなかでは味わえないような感情の揺さぶられ方を体験させてくれるものがある。
それを知ってしまっている人なら、オタクと呼ばれていようがいまいが、この漫画は「わかる」と頭を抱えてしまいたくなること必至なのだ。