小学生の頃訪れた、奇石博物館。昔々の記憶で、本当かどうかもわからないけれど、自分の頭くらい? とても大きな卵型の孔雀石を見た気がする。腰の高さまであるアメジストが、土産物コーナーに置いてあった。150万円だった。
2歳年上の兄が、夏休みの自由研究で石について調べていた。
花崗岩。玄武岩。安山岩。この三つだけ、覚えている。花崗岩の中に黒く光る粒がたくさんあった。あれは雲母だったんだろうか。透明な結晶を水晶と信じて、「取れないかなー」と爪でカリカリしてみたりもしたが、何故か砕いたりした記憶がない。
タイトルがきれいだな、という印象で手に取った本だった。
本書は新聞記者の傍ら趣味の鉱物採集をしていた著者が、夕刊に連載していたコラムに加筆したものということで、化学式であったり、へき開という割れる方向?の説明もついていて、専門的な情報もある。が、コラムは専門用語ばかりではなく、ちょっとした豆知識みたいなものも豊富でただ読んでみるだけでも十分楽しい。写真もほとんどが拡大写真で、ずらっと並んだ顕微鏡を一つずつのぞき込むようでワクワクする。
目に楽しいのはやっぱりキラキラしていたり、幾何学模様みたいな形になっているものだけれど、針みたいな見た目な石とか、その辺で見かけたらカビとしか思えないようなものであったり。鉱物、という言葉を硬いものというイメージで受け止めていたので、その不思議な姿を何度も見返してしまった。
そういえば奇石博物館でも、コンニャク石とか、革石とか、柔らかい石が展示されていた。子どもの時にはとても遠くに来たものだと思っていたが、富士宮店から北へ7キロほど。意外と近いので、是非両方とも、お立ち寄りいただきたい。