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『とうきょう小鬼らいふ』 草川為 (白泉社)

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『とうきょう小鬼らいふ』 草川為 (白泉社)

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クリスマス直前、彼氏に二股をかけられふられた『ふみ』のもとに、秋田から小鬼の『百間』がホームステイしてくる。
東京へ来た当初は人と鬼との共存、と意識の高いことを言っていたものの、割とすぐに気ままな東京ぐらしを謳歌しだす百間。
大家さんからの唐突な要請(百間がいる間は家賃1/3の条件付)に、最初はあまり歓迎状態ではなかったふみも、同じ部屋にいながら黙々とお互いの趣味に打ち込めたり、自分ひとりでは行かなかったような場所へ連れ出したりしてくれる百間がいる生活が、しだいに楽しくいとおしいものへとなっていく。

あらすじだけ見れば、導入の段階で大騒ぎになったり、元彼とひと悶着あったりしそうなものだ。
けど、突然の小鬼の来訪に驚きはするものの割とあっさりその存在を受け入れていたり、元彼が出てきても場面装置としての必要最低限の会話のみで終わっていたり、基本的にふみが感情を荒らげることはあまりない。(百間は喜怒哀楽がめまぐるしく忙しい)
そんな起伏のなさがふられた一因でもあり、自分自身でもつまらないと思っていたのだけど、逆にそんな部分が百間とうまくかみ合って、とてもいいコンビになっているのは確かだ。
見かけの楽しさやにぎやかさだけでははかれないふみの良さを見ている百閒。
にぎやかで自分大好きだけど、変なところに気をまわす百間に、きちんと向き合い理解を示すふみ。
1話にあった
「一緒にいて楽しい人と楽しいことをしよう、それが清く正しくなくても」
というモノローグ、このふたりをあらわすのになんてぴったりの言葉だろう。