世にたくさんの本がありますが、出会うべきタイミングで出会うべき本を手にする
という幸運が、ときに起こります。私にも、決定的なタイミングで出会い、
ある時間を共にし、自身のうちに刻まれた本がいくつかあります。
本書は、ある経営者が自らの経験をもとに、困難への立ち向かい方を語ったものです。
私が本書を手にしたのは、まさにある困難が始まりつつあるときでした。
「よけいなことを考えず、なすべきことを書き出し、それらの対応に集中すること」
という本書の教えに、大いに助けられました。
そして本書の最も重要な教えは、焦らないこと、時間を味方につけることでした。
「明日まで生き延びれば、今日はないと思えた答えが見つかるかもしれない」
「苦闘の真っただ中にいるときは、簡単なことはなにもなく、すべてが間違っているように
感じる。…しかし私の経験では、予想外の幸運と助けによって、抜け出せた」（99頁）
という本書の言葉で、私は何度も顔を上げ前を向き直すことができました。
コロナ禍のなかで、いままさに困難のなかにあるという方もいらっしゃると思います。
ひょっとしたら、本書が支えになるという方もあるかもしれません。
そうした方に、本書が届くことを祈ります。