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『渋谷音楽図鑑』牧村憲一 藤井丈司 柴那典 (太田出版)

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『渋谷音楽図鑑』牧村憲一 藤井丈司 柴那典 (太田出版)

営業本部:野尻のおすすめ

 


『渋谷音楽図鑑』

90年代について書かれている本があるとついつい買って読んでしまう。
気がつくと、自宅の棚に90年代のコーナーが出来るほどになっていた。
それでももっと読みたいと思い、Twitterで他に何かよい90年代本知っていたら教えて下さい、と本屋のくせに!?聞いたらこの「渋谷音楽図鑑」もいいよ!と教えてもらった本。ありがとうございます。

まさに90年代に渋谷界隈をウロウロと、日々レコードショップとセンター街にあったタワレコに入り浸っていた身としては、なぜこの「渋谷音楽図鑑」が未読だったのか、と読む前に疑問が浮かんだ。まさに青春どストライクの本なのに。
とは言え、この本は90年代に特化した渋谷音楽図鑑ではなく、はっぴいえんどからシュガー・ベイブを経てどうやって渋谷音楽はフリッパーズ・ギターにたどり着いたかを時系列で記してある、まさに渋谷音楽図鑑なのである。
その中でも特に、フリッパーズから派生した(のか?)渋谷系と言われていた音楽が90年代に渋谷で起こしたムーブメントの大元がなにであったのか、どのように生まれたのかがわかる第5章「渋谷系へ」は当時を思い出しながら読むと面白い。

当時フリッパーズ・ギターをデビュー盤から聴いていたが、最初は本当に誰も知らなかった。
それが、予備校ブギとういドラマで「恋とマシンガン」が突然主題歌として使われてからというもの、急激にフリッパーズ・ギターファンが増え、その音楽的なバックグラウンドに着目していた自分としては、「いやいや、違うでしょ~」とうんちくを垂れる面倒なファンになっていた。
しかし、そのくせ中途半端なファンだったのでこの本を読むまでは「幻となった四枚目のアルバム」の話があったことは知らなかった。それが、実現したならばまたネオアコをやって、アルバムを日本とイギリスとフランスで同時発売しようとしていたことも。
また、フリッパーズ・ギターがライブで抱えていた問題が、《ドラッグのカルチャーがない日本で、その影響下で生まれた音楽をライブでそのままやろうとするのは難しかった》という表現はストンと自分の中で落ちた。そうか、やっぱり「ヘッド博士・・・」はそういう音だよねと。
当事者が語る話はやはり面白い。90年代の渋谷系を通った音楽好きにはとてもおすすめの一冊。

そして、90年代という切り口でこの「渋谷音楽図鑑」を語ったが、はっぴいえんどや山下達郎、シュガー・ベイブも大好きなので、2,400円と少々お高いですが、読み応え満載です。