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『ライカの星』 吉田真百合 (KADOKAWA)

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バイヤー(コミック)

『ライカの星』 吉田真百合 (KADOKAWA)

コミックバイヤー:阿部のおすすめ



切なくて悲しいけれど心に小さな光が灯るような暖かさが読後に残る今年1番のお気に入り!大傑作!大好き!!なお話をご紹介。

1957年、旧ソ連が宇宙開発の為に世界初の犬の宇宙飛行士として、宙に送り出したのが元野良犬の「ライカ」

厳しい訓練を受け、スプートニク2号に乗せられたライカは打ち上げられ、過熱とストレスで数時間で亡くなったと言われています。

この漫画はそのライカ犬が主人公(主犬公?)
実は生き残っていて(他の実験犬も)人類へ復讐しようとするお話です。

昔見た映画「マイ ライフ アズア ドッグ」で不遇な人生を送る少年が「僕の境遇はライカ犬に比べたらよっぽど上等だよ」と自分を慰めるのですが
(ちなみにこの映画は愉快な大人が沢山でてきて日常を彩ります、簡単に状況は良くならないけど大切な何かを少しずつ掴み取っていくとてもエモいけどヘンテコリンな雰囲気の映画)
それほど「ライカ」の実話は多くの人の心に訴えたと思います。
 
作者の吉田真百合さんもその衝撃でこの漫画を描かれたという事でした。(単行本著者コメントより)
 

復讐心を燃やすライカ(達)それは当初生きる原動力にはなった。
でも心を満たしてはくれない。

生きる理由は
生きたい理由は
本当は別にちゃんとあるんだよと。大切なことに気づかせてくれるお話です。

そして復讐の物語だけどどこか長閑な空気が流れるのは犬たちの描写がかわいい!のと、復讐といいつつツメが甘いからかな。
冒頭で隕石群を地球に発射して「ディープインパクト」とか「アルマゲドン」的な人類滅亡を企むんだけど、小さすぎて流星群になっちゃって人類は予想外の天体ショーに喜んじゃうとか。

他にも短編が3作。
最後の海底着陸はタイトル作の元ネタのような双子な雰囲気をもつ作品。
「さよならラバイ」は
ひとりよがりじゃみんな幸せにならんけど、でもその気持ちわかるよ!ってなるし
「愛の焦土」は
このすれ違い悲劇が辛いって感じでした。すき。

全作品の根底にある
心のすれ違いが巻き起こす悲劇と切なさとやさしさあたたかさにぜひ触れてほしい。

というか
全人類に読んでほしいです
そして
「ライカ」のアナザーストーリーに暫し癒されてほしいです。