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『たまごのはなし』 しおたにまみこ (ブロンズ新社)

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富士店

『たまごのはなし』 しおたにまみこ (ブロンズ新社)

富士店:田雜のおすすめ


読んでいる途中から気づいてしまいました。
私は、今一番推したい本、いや、推したい「たまご」と出会ってしまった!と。

本書は、短編3話が収録された絵童話で、主人公がそのたまごです。
物語は、「いまから、わたしのはなしをするからね。よくきいておくんだよ。」というたまごの語りで始まります。

冒頭ページのたまごが目覚める表情を見た時から、たまごの怪しげな魅力のとりこになってしまい、一体何者なの?どんな物語が繰り広げられるの?と夢中になっていました。
友達のマシュマロと家の中をうろついて、まわりのいろいろにちょっかい(もしくはいじわる)をしてまわるのですが、そのちょっかいがシニカルでユーモラスで、こちらのツボをついてきます。言い合いにも負けない口も達者なたまごです。

しかし、このたまごの凄いところは、ただいじわるなだけじゃなく、人の意見を聞くときはしっかり聞いて納得したり、妙に深い一言で読んでいる人をドキッとさせてくるところです。大人でも忘れがちな、でも大事なことを改めて気づかせてくれます。
そして、笑ったり、感心したりしているうちに、あっという間に読み終えてしまいますが、気づけばまた最初から読んでいる…という、とても中毒性のあるたまごなのです。

作者のしおたにまみこさんは前作の「そらからきたこいし」「やねうらべやのおばけ」も話題になった注目の作家さんです。木炭鉛筆で繊細に描かれている絵だからこそ、たまごやマシュマロの絶妙な表情がこの絵童話の最大の魅力になっているのだと思います。絵をゆっくり楽しみながらお子様へ読み聞かせするのにもぴったりです。きっとたまごが大人も子どもも笑顔にしてくれますよ。

私の推したまごのおはなし、是非きいてあげてください!